高梨 潔 作品

高梨 潔タカナシ キヨシ(故人)

太平洋美術会 会員

会長

絵画部

神奈川支部

  風景への、あるいは,さまざまな対象へのひたすらなる眼差しがある。それは画家高梨潔の純粋観照の眼差しにほかならない。唯一の著書「神奈川スケッチ紀行」の中で「絵を描く人にはまず美しいと思う”心“がほしい」、雲や水の流れを単なる自然現象としか見ない美痴の人がいるが、どんな生活環境の中にあっても、美への感性は心がけ次第で身につくものだ。素直な心で物を見ると、いつの間にか審美眼は育ってくる。花や樹木の形をよく見るとよい。自然の造形の見事さに気が付くはずだ。と述べる画家のこの言葉は初心者に向けられているが、同時に自分自身の内部にも向けられている。これほど彼の芸術的信条を素直に述べたものはない。
    彼は風景に対峙し、風景を凝視する。風景が彼に接近する。彼もまた全身全霊で、風景に近づく。やがて風景と彼の一体化。彼が「最初に感動ありである」というのはこのことだ。
  風景と画家との、まさしくエクスタシー的コレスポンデンス(照応)。その時、彼は自分が風景画家であることを自覚する。まさしく風景の純粋観照作家なのである。(抜粋 風景との一体化 美術評論家 佃堅輔)

  画家高梨潔の絵に取り組む真摯な姿勢と卓越した描写力、円満な人柄は多くの才能ある画家たちの間に尊厳をもたらし、深い親しみと友情をはぐくんできた。作品の大きな特徴であるさわやかな画風と外連味のない絵は強く心に残り、見る人のすべてに感動を与えている。

画歴
  1931 横浜市本牧にて出生        海外取材  イタリア 4回  フランス 2回 スペイン 2回  その他    2回
  1955 長岡忠三郎に師事。         
  1956 太平洋美術会に入会        個展     せんたあ画廊 15回    
  1957 太平洋神奈川支部創立会員            サムホール  25回
  1959 太平洋美術会会友推挙              その他G展  多数        
  1961 太平洋美術会会員推挙      
  1968 銀座昭和画廊で第1回個展      
  1982 太平洋美術会理事に就任       
  1996 神奈川スケッチ紀行 出版      
  2006 太平洋美術会副会長に就任    
  2008 太平洋美術会会長に就任
  2009 5月逝去 78才